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次のお題は「カポエイラ・ゴスペル」!



「カポエイラしか読まないポルトガル語読解講座」の来週からのお題は「カポエイラ・ゴスペル」です。

皆さんも「カポエイラ・ゴスペル」「福音のカポエイラ」というトピックくらいは聞いたことあると思いますが、近年ブラジルで急速に力を持ってきているプロテスタント系のキリスト教会がカポエイラを教化の手段としているという問題です。その中ではカポエイラのアフリカ性が否定されたり、歌も神やキリストを礼賛する歌詞のものしか歌わないとか、カポの根幹にかかわるような問題もはらんでおり、ブラジルでも様々な議論が交わされてきています。

今回は3年前にブラジルのBBCが取材した記事を読んで、現代のカポエイラを取り巻く問題の一つを垣間見てみようと思います。

8月にスタートしたこの講座では、「カポエイラのスタイルについて」「アンゴーラで靴を履く『伝統』について」「メストリ・ビンバのリング上のカポエイラ」「コブリーニャ・ヴェルジのプロフィール」「メストリ・パスチーニャがブルース・リーに敗れる」とずっと歴史もので来ましたので、6つ目となるお題はカポエイラの今日の問題を勉強してみたいと思います。

レッスンではポルトガル語の訳し方、文法の問題はもちろん、テキストの内容について説明を補足したり、みんなで話し合ったりします。カポエイラの歴史を学び、今日の状況について理解を深めることで、より奥深く味わうことができます。

欠席した人にはその日の日本語訳文と授業の録画を配信しますので、フォロー態勢もばっちり。参加費も1回875円と超リーズナブルになってます!

この講座はいつからでもご参加いただくことはできますが、基本的にトピックが変わるタイミングでしかこちらからお声がけはしませんので、関心のある方はこのタイミングをぜひお見逃しなく!

「カポエイラしか読まないポルトガル語読解講座」

■日時:毎週水曜日 午後9時から10時(60分) Zoomを利用します。
■進め方:
①決められた範囲を参加者全員で訳してきます。
②その週の担当者が翻訳を発表し、久保原が補足、解説をする。
③発表者以外の参加者も疑問、質問を自由に行う。
※欠席した人にはその日の日本語訳文と授業の録画を配信しますので、フォロー態勢もばっちりです!
■読むテーマ:古いメストリたちのプロフィールやカポエイラの歴史について、なるべく平易なものから始める。
■参加費:10,500円(3か月・12回)

メストリ・ブラジリアへの支援をお願いします!



私の最初の師匠であり、サンパウロのカポエイラの先駆者のひとりであるメストリ・ブラジリアを支援するキャンペーンです。

現在メストリ・ブラジリアは、コロナのあおりもあり、長期間レッスンを行うこともできず、家賃の高い、現在アカデミア兼住居としている拠点を立ち退いて、マイリンポランというサンパウロ市郊外に移転する計画を進めています。とはいえ、全く先立つもののない状況で、今回はその引っ越し費用を支援しようというキャンペーンです。

先だってブラジル側でも支援のキャンペーンが動き始めていますが、申し込み窓口などがブラジルということもあり、たとえ気持ちがあってもポルトガル語でやり取りする煩雑さのために参加できない方もいらっしゃると思います。

そこでブラジルとは別に日本オリジナルのキャンペーンを打つことにしました。商品は私の個人的な在庫を提供する形で、送料以外の売り上げはすべてメストリ・ブラジリアに送金します。

書籍セットとDVDセットの2種類を用意しました。通常の商品価格は合計で10,000円前後になるものですが、このたびは可能な限り多くの方にご協力いただきたく、価格はいずれも3,900円(税込み)としました。今ならおまけにドナ・イヴォニ(メストリ・カンジキーニャの未亡人)が表紙のカポエイラのミニコミ誌をお付けいたします。

ご協力いただける方はliberdade@magic.odn.ne.jp(久保原)までご連絡ください。みなさまどうぞご協力よろしくお願いいたします。


■書籍セット
①本『Vivencia e Fundamentos de um mestre de capoeira』ポルトガル語版(3,240円)
②CD『Capoeira e de valor – Mestre Brasilia』(2,700円)
③DVD『Coletânea de aulas e shows com Mestre Brasília』(3,780円)


■DVDセット
①DVD『Vivencia e Fundamentos de um mestre de capoeira』日本語字幕付き(4,212円)
②CD『Capoeira e de valor – Mestre Brasilia』(2,700円)
③DVD『Coletânea de aulas e shows com Mestre Brasília』(3,780円)

※(  )の価格は商品の通常価格です。
※送料・代引き手数料が別途500円かかります。
※商品の詳細はこちらをご覧ください。
●本『Vivencia e Fundamentos de um mestre de capoeira』ポルトガル語版
http://www.berimbau.jp/29_388.html

●CD『Capoeira e de valor – Mestre Brasilia』
http://www.berimbau.jp/36_387.html

●DVD『Coletânea de aulas e shows com Mestre Brasília』
http://www.berimbau.jp/31_282.html

●DVD『Vivencia e Fundamentos de um mestre de capoeira』日本語字幕付き
http://www.berimbau.jp/31_360.html

第4クールはコブリーニャ・ヴェルジとパスチーニャ

毎週水曜日の21:00になると北は札幌、南は福岡、はたまたブラジルはバイーアから仲間が集まってきます。その日は私たちの大切な夜会。それぞれの居場所から時空を超えて、私たちの心がブラジルの古都サルヴァドールを散策する日です。

ビンバがリング上でアンゴレイロたちと対戦していたセー広場、弟子たちのホーダをパスチーニャが目を細めて眺めているペロウリーニョ、ヴァウデマール、トライーラがビリンバウを弾き、ナジェ、ブガーリョがジョーゴをしているコルタ・ブラッソのホーダ、ビゾウロが闊歩していたサント・アマロ・・・。

「カポエイラしか読まないポルトガル語読解講座」での濃密な学びの時間は、私にとって、文字通りの意味で祝祭です。とくにコロナで物理的にはなかなか集まりにくく、練習もホーダもままならない状況にあって、夜な夜なカポエイラの歴史の森をうろつく快感は、ハマります・・・!

一昨日終了した第3クールではメストリ・ビンバのリング上で繰り広げられた異種格闘技戦の様子を垣間見ました。サルヴァドールの有力新聞『A TARDE』の編集部に呼ばれたメストリ・ビンバは、カポエイラ・ヘジオナウ創出の経緯、師匠ベンチーニョから学んだカポエイラに何を付け足して、何を取り除いたかを語ります。リング上の試合のルールも最小限の反則以外は何でもありであるべきで、いつなんどき敵に襲われても対応できるのが真のカポエイラだ、ビリンバウ、パンデイロの伴奏など意味がないと持論を展開します。

研究者が書いて本の形になった文章ではなく、1936年3月16日付の実際の新聞記事ですから、こういうのを歴史学では一次史料と言いますが、本当にメストリ・ビンバの話を間近で聞いているような息遣いが感じられます。

もちろん肝心のポルトガル語の勉強も濃いですよ。昨日の一幕を紹介しましょうか?

たとえばビンバと対戦したゼイ(Zey)がメイア・ルーア・イ・アルマーダを1発とチゾウラを1つしただけだった(Zey fez apenas, uma meia lua e armada atingida e uma tesoura atingida. )と出てくれば、この「apenas(ただ、~だけ)」は「somente」に置き換えられますかという質問が飛び出します。すると、apenasは数量の方に重点があって「~だけ」という意味だけど、somenteは「~しかできなかった」というようなニュアンスで、apenasを使う方が優しい言い方ですよ、などという説明が、ブラジル人アドバイザーのソウさんからされます。

するとまた別のメンバーが、同じく「~だけ」を意味する「só」との違いは何かと質問し、たとえば「昨日タルトを一つだけ作った(3つではなく1つという数重視)」というのと「昨日はタルトを作っただけだった(他のことをせずにタルト作りしかしなかったという行為重視)」のニュアンスをどう表現し分けるかという話になって、私も初めは

Ontem fiz uma torta.(昨日タルトを一つだけ作った)

Ontem fiz uma torta.(昨日はタルトを一つ作っただけだった)

のように、「só」の位置の問題かと考えたのですが、実は違っていて、次のように「uma」をつけるかつけないかが分かれ目だというようなディテールを学んでいます。

Ontem fiz só uma torta.(昨日タルトを一つだけ作った)

Ontem só fiz torta.(昨日はタルトを作っただけだった)

いかがですか?なかなかマニアックですよね?ほとんどの人は、今の部分飛ばし読みしてると思いますが(笑)、こういう細部にこだわって詰めていくことで、ポルトガル語を一人で読み進んでいける地力が少しずつ身についていくんですね。なかなか一人ではそこまでストイックにできなかったり、ともするとスルーしてしまいがちですが、グループでアタックするからこそ突き進める部分だと思います。

来週からの第4クールでは、コブリーニャ・ヴェルジのプロフィールを少しだけかじってから、「メストリ・パスチーニャがブルース・リーに負けた」というセンセーショナルな見出しの新聞記事にチャレンジします。

講座の概要は以下の通りです。カポエイラの歴史を探訪しながらポルトガル語の読解力をつけることに関心のある方は、ぜひ合流してください。

「カポエイラしか読まないポルトガル語読解講座」

■日時:毎週水曜日 午後9時から10時 Zoomを利用します。
■進め方:
①決められた範囲を参加者全員で訳してきます。
②その週の担当者が翻訳を発表し、久保原が補足、解説をする。
③発表者以外の参加者も疑問、質問を自由に行う。
※欠席した人にはその日の日本語訳文と授業の録画を配信する。
■読むテーマ:古いメストリたちのプロフィールやカポエイラの歴史について、なるべく平易なものから始める。
■参加費:3,900円(月4回)、10,500円(3か月・12回)

消えゆくカポエイラ・アンゴーラ?



メストリ・パスチーニャのグループCECA(Centro Esportivo de Capoeira Angola)のとても貴重な映像がyoutubeにアップされました。

タイトルは「LPのリリース」となっているので、これがメストリ・パスチーニャのLPレコードのことを言ってるとしたら1969年のことだぞ!!えっ、そんな映像残ってるのか?でも本当だとしたら、とんでもないお宝が写っているかも、とドキドキしながら見てみました。

MESTRE JOÃO PEQUENO, MESTRE CURIÓ, MESTRE BIGO, MESTRE GIGANTE, MESTRE BOBÓ, MESTRE PAPO AMARELO, MESTRE GILDO ALFINETEといった長老たち(半分は故人)が参加しているそうですが、みなさんあまりに若々しいのと、会場が暗いので、誰が誰かほとんど分かりません。

ただ年代については、記者のインタビューに答えるメストリ・ジョアン・ピケーノが、現在63歳だと答えていることから、彼が1917年生まれであることからして、このイベントは1980年のものであるようです。

それにしてもこの1980年という年は、メストリ・パスチーニャが亡くなる前年、メストリ・モライスがリオから戻ってサルヴァドールでGCAPを始動させる2年前に当たりますから、ある意味、今日につながるカポエイラ・アンゴーラの礎が固まる前の、アンゴーラがいわゆる「消えゆくカポエイラ」と言われていた時期のホーダだということになります。76年にアカデミアを失い、失意の中、養老院で貧困生活をおくっていたメストリ・パスチーニャが亡くなるのはこの翌年です。

そういう目であらためてこの映像を見ると、また違った感傷がわいてくるのと同時に、いろいろな点に気づきます。

ユニフォームが統一されていない。シャツが黄色と白があるのは別のグループなのでしょうか?黄色のシャツでもズボンの色はバラバラです。

*技の種類。黄色のシャツの人たちもいわゆるケイシャーダ、高いアルマーダなど、今日、アンゴーラの特徴を損なうとされている蹴り技も使っています。80年代当時バイーアで黄色のシャツをユニフォームにしていたのはCECAが唯一だったと思われるので、おそらくはパスチーニャの生徒たちであると思われます。

バテリアのスピード、ハーモニーがパスチーニャのレコードよりもヴァウデマールの音源のものに近いように聞こえる。スピードも、メストリ・ビンバのLP『Curso de Capoeira Regional』のコヒードに勝るとも劣らない速さです。

楽器の種類と数。暗くてよく見えない部分もありますが、ビリンバウ2本、パンデイロ1枚、アゴゴ1つ、アタバキ1つで、並び方も固定されていないのか、途中で場所が入れ替わっているように見えます。

パウマ(手拍子)がされている。これもメストリ・モライスは当初からカポエイラ・アンゴーラではパウマはしないと言っていましたが、彼の先輩たちが出演している「パスチーニャ」のホーダではパウマが行われていたこと(少なくともこの日は)の実例になるでしょう。

今日のアンゴーラの発展につながるカポエイラ・アンゴーラ復興の起点として、一つの節目ととらえられているのはメストリ・モライスのリオからの帰郷とGCAPのサルヴァドールでの始動です。この映像は、その前のサルヴァドールでアンゴレイロたちがどのようなホーダを行っていたかを垣間見ることのできる貴重な資料として見ることができると思います。

インタビューの中でジョアン・ピケーノが言っている内容は、ようするに「自分のアカデミアを持つよう言われたこともあるが、メストリ・パスチーニャの生きているうちは、メストリはパスチーニャであり、アカデミアはパスチーニャのものだ」ということだと思います。今日のように、生徒たちがどんどん独立して、ある意味自分のメストリと市場競争をしている状況を戒める言葉として、いろいろなメストリからこれまで聞かされていたことです。もしかしたら、この時のジョアン・ピケーノの言葉が拠り所になっているのかもしれません。

そしてメストリ・パスチーニャの最晩年の様子。半生をカポエイラにささげた人間の最晩年として、あまりにも悲しいものを感じます。どんな分野にもありがちですが、彼の真の業績が認められるのは、その死後何年もたってからのことでした。

このように一つの映像、一枚の写真が掘り起こされるたびに、私たちは様々な情報を読み解き、「言い伝え」との整合性をそこに探すことができます。これもカポエイラの楽しみ方の一つでしょう。

コンマ一つが笑う人を変える!?

昨日のカポエイラ読解講座で私を苦しめたコンマ君の問題についてお話ししましょう。まずみなさんは次の文を読んで意味が理解できますか?

彼女は笑いながらビリンバウを弾いているメストリのもとに駆け寄った。

「理解したけど・・・」という人に問題です。笑っているのでは誰でしょう?

ね!分からないでしょ?

もちろん彼女かメストリかのどちらかですが、決定的な決め手は文のどこにもありません。最終的には文脈で推測するしかないですね。でも、もしこの1文だけがポロっと与えられた場合、笑った人が誰かは永久に迷宮入りです。

しかしこれならどうでしょう?

①彼女は笑いながら、ビリンバウを弾いているメストリのもとに駆け寄った。

②彼女は、笑いながらビリンバウを弾いているメストリのもとに駆け寄った。

笑っているのは、①が彼女で、②がメストリなのは明らかですよね。

ポルトガル語の読解でもおんなじ問題が付きまとうんですよ。コンマがあるかないか、その位置一つで文の意味ががらりと変わります。

フレッジ・アブレウにもらった本から私が転載した文はこうなっていました。訳せるかどうかチャレンジしてみてください。本をスキャニングしたものなので、私は何も手を加えていません。

De certa época a esta parte entretanto, a capoeira está sendo apreciada com entusiasmo, fazendo parte, com os números obrigados de festivais esportivos.

この文の意味がどうもストンと分からなかったので、ブラジル人の友人に相談し、二人で頭を抱えていたのでした。そこでもしやと思い、帰宅後、印刷のかすれた、もともとの新聞記事をルーペでよく確認したところ、新聞記事は次のようになっていました。

De certa época a esta parte, entretanto, a capoeira está sendo apreciada com entusiasmo, fazendo parte, como os números obrigados, de festivais esportivos.

はい、これなら一件落着。「 fazendo parte de festivais esportivos.」とつながって、意味がスッと入ってきます。

それにしても「,」が2か所抜けていて、comoがcomになっていたのでした。その後、参加者に配信したテキストを新聞記事と付き合わせて点検してみると、あるわあるわ、誤植、欠落のオンパレードです。いくら元の記事が1936年のものとはいえ、フレッジの本が出たのは1999年ですからね。

でもカポエイラについて勉強するというのは、こういう経験も込みなんだと思います。これを「印刷されたものを頭から信じるでないぞ」というメッセージであるかのように理解するのは、単なるずさんな編集に対して好意的すぎるような気もしますが(笑)。

それでも何とかこの状況をポジティブに解釈しようと、読解講座の参加メンバーには、メストリ・パスチーニャの言葉を贈りました。

Capoeira é tudo que a boca come.

「カポエイラしか読まないポルトガル語読解講座」に参加してみたいという方はこちらから。

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